放送室の蛾

3/3
前へ
/57ページ
次へ
「アレ」  私は首を傾げた。  ……好きな人?  誰が誰を。  私と、神保君。  どっちが、どっちを。  私が。神保君のことを。好、き……? 「いーんちょ?」  急に黙ってしまった私の顔を、神保君が覗きこんできた。 「うわわわっ、」  私は近さにドギマギして、ついでに真っ赤になった自覚があった。 「なんだよ、どうしたんだよ」  益々近づいてくる神保君に耐えきれずに叫んだ。 「そこにっ、でっかい蛾がっ」 「蛾ぁ?何処に」  神保君が後ろを向いた瞬間、私は逃げ出した。
/57ページ

最初のコメントを投稿しよう!

8人が本棚に入れています
本棚に追加