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「山城君のことが好きです。よかったら、付き合って下さい。」
ふわふわした女子力高めの女の子。
真っ赤になりながら、上目遣いに涼を見つめる。
少し時間をおいてから、
「ありがとう・・・。すごく嬉しいけど・・・ごめん。」
すごく申し訳なさそうに、だけどはっきりとした声。
「・・・他に好きな子とか・・・いるの?」
今にも目に溜まった涙が落ちそうなほど弱々しい声。
「・・・うん。・・・いるよ。」
優しく語りかける涼。
中庭でのランチが終わって教室に戻ろうとした時、絵美ちゃんと私は告白現場に遭遇した。
校舎の人気の少ない渡り廊下での出来事だった。
咄嗟に私たちは近くの塀の後ろに隠れて息を潜めて様子を見ていた。
偶然にも聞いてしまった。
いや、違うかな。いわゆる盗み聞きだ。
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