プロローグ

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音楽を全く知らない俺でも聴いたことのある曲だ。 だから有名な曲なんだと思う。 数時間前に試合に負けたことなんて忘れていた。 涙は枯れて、ただただその曲に耳を傾けていた。 綺麗な曲。 いや、この人が弾いているからこんなにも綺麗な曲なんだ。 何故だかわからないけれど、そう思った。 時間を忘れて、どこだかも分からないこの場所にたたずんでいた。 気づくと曲が終わって、この旋律を弾いてた人と目が合った。 驚いた。彼女は泣いてる。 俺は衝動的に走り去った。 なんで泣いてるの?聴いてちゃまずかった? この曲は、君が奏でたこの曲はなんて曲? 一緒に話したいと思っていたのに。 ーーー俊輔!起きろ! 夢…か。 目覚ましの代わりに兄貴の声が頭に響く。 重い瞼を持ち上げて起きる。 最近よく見る。幼い頃の記憶の夢を。
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