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サンカフェのシェフである三吉忍は、私より一回り以上歳上だ。
37歳の大人の彼からしてみれば、きっと私は恋愛の対象にはならない。
それに私自身、もう金輪際、男性と付き合うのはこり懲りだと思っていたから。
だから心の中でずっと、秘かに想っているだけで良いと思っていた。
ーーそれなのに、だ。
休日に、可愛い女の子と並んで静かに笑っている彼を見て、いてもたってもいられなくなった。
「この間、街を歩いてて見かけたんですよ。カノジョ、可愛い子ですね」
接待で帰りが遅くなった晩、サンカフェに立ち寄ろうとした際、外で煙草を吸う彼に出くわした。
勇気を振り絞って声をかけ、当たり障りのない言葉のやり取りを幾つか交わした後、そんな言葉を彼に投げかけた。
「……は?俺、彼女なんていないけど」
甘さの欠片もないような顔で彼が呟いたその言葉に、自分で心に誓っていたことも忘れ、私は大胆な言葉を口にした。
「私と、付き合ってくれませんか?」
その時の私は、嬉しくて舞い上がってしまっていたのだと思う。
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