ニヒルな料理人

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* 「嗅覚および味覚過敏。世にも珍しい病気なんだと」 事も無げに、彼は珈琲を飲みながら答えた。 彼はブラック。私はカフェオレ。 サンカフェではない、深夜もやっている別のカフェで、初めて彼と2人きりで話をした。 過度な煙草やアルコール、カフェインの摂取は、普通なら料理人には御法度だ。 「俺の場合、それらを摂取した方が、丁度具合が良いんでね」 私には、到底理解し得ない未知の世界だ。 自分にとってマイナスな部分を、さほど大したことのないように告げる彼になら、自分のトラウマもさらけ出せる気がした。
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