①「始まり」

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たまに僕は考えることがある。 「始まり」とはなんだろうか、と。 きっと何気なく生きている僕らでさえ、「始まり」はあった。遠い遠い過去に。 過去を大切にし、過去を捨てる。 そうして人類は今を生きている。 人間は数々の生命体の上位に君臨し、 自らの生活が支障なく過ごしていけるか、という欲を必死に探しては挑戦し、その結果崩れていると思う。 何1つだって成功なんてものはない。 誰かが幸せになれば、 誰かが必ず不幸になる。 じゃあ幸せなんて、最初からないじゃないか。 こんな狭苦しい世界で、何か得体の知れない概念にとらわれ、自由をなくし、呼吸すらできないくらいに息苦しい。 「始まり」は、何かの終わりにすぎないのかもしれない。日々は憂鬱で、ありのままなんて言葉は程遠く、生きているのさえよくわからない僕は、理解という権利さえ与えられていないのだった。
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