Monday

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「先程ご賞味いただきました当店のお料理、如何でしたか?」 「とっても美味しかったわ。見た目もすごく綺麗でした」 「ありがとうございます。あの料理を調理したシェフが手にするナイフも、 綺麗な飾りを施す事も出来れば、人を殺める事さえも可能でございます。  このチケットも同じ、扱いによってはお二人にとって最高に魅力的な結果に きっと繋がるものと信じております」  この一週間のチケットに関する全ての行動は、一切口外されることなく完全秘密主義で お守りし、バックアップされることが保証された。 このチケットのルールは二つ。 そのルールとは、他者に一切口外しない事と、同じ男性を指定できない事だった。 半信半疑ながら、夏美は朝倉に依頼を告げた。 「そんなどんな異性でもって!もう、叶う訳ないじゃん。 朝倉さん、そしたら彼とのセッティングお願い。」  そう夏美が指定したのは、携帯の待ち受け画面にしている男性アイドルグループの一人 瀬名 凛久だった。 「かしこまりました」 「えっ」 「それではすぐに手配いたします。お車をご用意いたしますので玄関口へお回りください」 「えっ!嘘でしょ。だって今日これからは歌番組のLIVE配信の筈だし」  半信半疑に指示されるまま、用意された黒い高級車に乗り込むとホテルに向かい走り始めた。 「あっ、あの」    白い手袋をはめた運転手への問いかけを遮る様に、夏美の携帯が鳴った。 見覚えのある番号、それは夏美自身の携帯番号だった。 「はい。もしもし」 「朝倉です。瀬名凛久様手配できました。 1時間後午後14時より18時の4時間となります。 ご心配は無用でございます。素敵なお時間を――」 「あっ、もしもし そんな急に嘘でしょ!?夕食の支度もあるし」 既に切れた携帯の画面を眺めていると、 再び電話が鳴りだした。 「あっ、もしもし、朝倉さん!」 「朝倉?もしもし、何言ってんだよ。俺だよ俺、 今夜仕事で急に接待が入っちゃってさ、何でも大口の取引取れそうなんだよ。 だからごめん。今夜遅くなるし夕食良いから先寝といて、じゃ」  主人からだった…… 「嘘でしょ――」  
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