Monday

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  時計の針が午前11時を指す頃、高級住宅街を抜けた見晴らしの良い山手に佇む華やかな洋風彫刻の施された建物の前に夏美は立っていた。 涼し気な風が頬を優しく撫でるとき、ハーブであろうか爽やかな心を落ち着かせる薫りを心地よく感じ取れた。   「本当にここなのかなぁ」 ランチの約束を交わし指示された場所に、タクシーでたどり着いたものの 想定外の場所に夏美は戸惑っていた。 「Bプラン失敗……」 年齢を重ねる度に崩れてゆく体系をカバーするためレディースファッション紙の通販で 購入した黒のデザインチュニック―― これさえ着込めば、全て解決! そんな文言につい購入したが、普段のお出かけでは申し分ないものの、 もっとフォーマルな洋服にすればとレースの端を掴みながら、 心の片隅で後悔していた時、目の前に一台の真っ赤な高級車が止まった。 「ごめん。待った?」  左座席の窓が開き、ハンドルをにぎる女性が声をかけてきた。 サングラスをしてるものの、セレブオーラ満載の涼子だとすぐに分かった。 隣の座席には、対照的に服装から地味な感じの女性が座っている様子だが、 涼子と重なり上手く顔が見えなかった。 「車止めてくるから、少しまってて」 そう告げると、車は静かに走り出した。
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