一年後――

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「おっと、うるさい爺さんたちを送ってかなきゃな」 「じゃあ、僕も帰りますよ」 と脇田が言う。  外では、統吉と渚のジイさんが、産まれた子をどっちの跡取りにするかで揉めている。  羽田は赤ん坊が無事に産まれたのを確認したら、遠慮して帰ったようだった。 「でも、移動中、羽田さんと揉めててくれて助かりました」 と言うと、なんでだ、と渚に言われる。 「いえ、ああいうとき、意外と頭は冷静なんですよ。  痛がってる身体とは切り離されてる感じで。  なにかこう、二人のやりとりに和みました」 「……俺は和まなかったが」  名前、なんにするかな? と渚が言った。 「早く考えないと、勝手につけられちゃいますよ」 「統吉二世とかつけられそうだな……」
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