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そのとき、
「次郎吉じゃっ」
「三太夫じゃっ」
と外から声が聞こえてきた。
何故、長男なのに、次郎吉と三太夫……。
そちらを振り返り、
「……まだ居たのか」
と渚が呟いていた。
はいはい、と港が二人をいさめる声がする。
「訊かないんですね、最近は」
と言うと、まだそちらを窺っていた渚が振り向く。
「前は、キスしていいかって訊いてたじゃないですか」
「じゃあ、訊こうか。
キスしていいか」
「もうしたじゃないですか」
と蓮が笑うと、渚は、
「今からもう一回するからだ」
と言い、蓮の腕の中の赤子に微笑みかけたあとで、ベッドボードに手をかけ、そっと顔を近づけてきた。
完
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