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相変わらず、美しい庭園だ。
蓮は祖父、統吉に呼ばれ、あの蓮の池の庭を歩いていた。
「お前の夫は、本当に人に言うことを聞かないな」
はあ。
どうやら仕事関係の愚痴らしい、と聞き流しながら、まだ花のない蓮を見ていた。
「折れるべきところは折れる。
そういうことを少しは学ばないと。
いつまでも若造じゃないんじゃからの」
折れるべきところで折れるような人なら、今、私と夫婦じゃないような、と蓮が笑うと、眉をひそめた統吉が振り返る。
「笑うべきところはひとつもないぞ。
相変わらずだな、蓮」
だが、祖父はひとつ溜息をついたあとで言った。
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