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それからの一週間、体の若干のだるさはあるもののシンが食事を持ってきてすぐ出ていく以外班の誰にも会わず、隔離されたような状態だった。
「匂いか...」
ポツリと呟く。
シンにバレてしまった。ひょっとしたら他の班のメンバー達もわかっているかもしれない。
シンは俺がΩだと軽蔑したんだろう。
Ωなんかが自分の上司なんて考えられないもんな。
俺がΩと知っているのは両親と昔からの世話係の三人しかいない。
俺の宿敵である父がΩだと知っているから、まあ、スパイとかなんだとかは思われないだろう。
隠す理由も父ならわかっているはずだ。Ωが昇進に不利になることくらい。
だからシンが報告しても父は知っているし処罰は厳しいものにはならないだろうとは思うが敵である父に助けられているという自分の現状に腹が立つ。
「クソがっ」
手元の近くにあった鉛筆を壁に向かって投げる。
カン、という音がして鉛筆は虚しく下に落ちただけだった。
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