127人が本棚に入れています
本棚に追加
戦争が一段落した今、活躍、貢献した人に賞や地位が与えられる式典が行われようとしていた。
3日間の謹慎を終え、シンと俺はいつも通りの仲に戻りつつあった。
あの酒を飲んだ日の事はお互いに触れないようにしている。
少し変わったことと言えば、シンが俺を叩いて肩を組んだり、小突いたりするのが減ったことだ。
オメガという扱いに戸惑っているのだろうか。生活の節々にそういう態度が見えると悲しくなる。
「ロイ、正装に着替えたか?」
シンが俺の部屋のドアをノックしながら聞く。
「いや、まだだ。」
俺は袖に手を通しながら答える。
「早くしろ!もうすぐ始まるぞ!」
「わかってる!」
式典の時は正装なのがルールだ。
アルギウスの伝統衣装はカッターシャツに膝丈のズボン。
そして皮のベルトを縦にして長方形に切ったものを腰の回りに連ならせくっつけるという、独特のこしみののようなものを着ける。
皮のベルトの正面に自分の階級の宝石を取り付けるのが正装だ。
俺は小隊長なので、ルビーだ。
階級が一番上の王になると、クリスタルになる。何者にも染まらない、そんな意味があるそうだ。
ボタンをとめ終えて部屋から出るとシンが正装で待っていた。
副小隊長は役職でいうと少し下なので黒雲母だ。
やはりシンの正装はかっこいい。
普段服に無頓着なシンがきちんとした服を着ると顔の良さが際立つ。
「何を見ているんだ。行くぞ。」
シンと一緒に大広間へ向かった。
最初のコメントを投稿しよう!