9話 出世

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ひそひそ話をしていた声が、一気に静まり返る。 今、何て言った? 「そして幹部、ブラッグ。この二人は前へ出よ。」 老人はそう続ける。 「おい、お前何やったんだよ~すげえじゃん。」 シンの隣の同期の隊長が言う。 シンは黙ったまま疑わしげにこちらを見ている。 俺は何もやってないぞ。 なぜだかわからないまま人混みをかき分けて前へ進んだ。 なぜ任務を失敗したヤツが、という目にさらされながら進んでいく。 人混みから出ると、父、グロンディヌスと目があった。 成る程。そういうことか。 中大将の従兄弟について秘密裏に調べろという事だろう。 知られてしまったのなら協力させるぞ、という事だ。 どちらにせよ、昇進の事は俺の計画を一気に加速させる要因になる。 自分で自分の首を絞めていると気がつかない哀れな王様。 俺が必ず地の果てに叩き潰してやる。 「特別任務大将。ロイ。」 新しい役職の書かれた紙が、髭の生えた老人から手渡される。 「ありがとうございます。これからも王様に忠義を尽くします。」 俺はにっこりと笑い、うやうやしく礼をした。
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