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ひそひそ話をしていた声が、一気に静まり返る。
今、何て言った?
「そして幹部、ブラッグ。この二人は前へ出よ。」
老人はそう続ける。
「おい、お前何やったんだよ~すげえじゃん。」
シンの隣の同期の隊長が言う。
シンは黙ったまま疑わしげにこちらを見ている。
俺は何もやってないぞ。
なぜだかわからないまま人混みをかき分けて前へ進んだ。
なぜ任務を失敗したヤツが、という目にさらされながら進んでいく。
人混みから出ると、父、グロンディヌスと目があった。
成る程。そういうことか。
中大将の従兄弟について秘密裏に調べろという事だろう。
知られてしまったのなら協力させるぞ、という事だ。
どちらにせよ、昇進の事は俺の計画を一気に加速させる要因になる。
自分で自分の首を絞めていると気がつかない哀れな王様。
俺が必ず地の果てに叩き潰してやる。
「特別任務大将。ロイ。」
新しい役職の書かれた紙が、髭の生えた老人から手渡される。
「ありがとうございます。これからも王様に忠義を尽くします。」
俺はにっこりと笑い、うやうやしく礼をした。
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