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(魔王?現実?まさか……この子も俺と同じで……現実から!?)
どうやらこの少女も隼一郎のように神からここに送り込まれて来た存在らしい。
「なんとしてでも……」
その後、何回か挑戦する少女。
しかし抜ける気配はなく、挑戦するたび隼一郎の全身、といってもまっすぐな剣だが、痛みが駆け抜ける。
(頑張って!早く抜いてくれよ)
「もういいかな……」
(おい、諦める気か?)
ふと、少女は抜こうとするのをやめた。
諦めたかと思われたが……。
「これ、折っても誰も何も言わないよね。こんなとこにあるんだもの」
(お嬢様?いまなんておっしゃいました?折る?今折るって言いましたよね?ちょーっとまてぇ~!)
少女は再び剣(隼一郎)に両手を掛けると……、
「えぃ」
そのまま手前に引っ張った。
バキン!という鋭い音とともに、目の前の剣は折れた。
「案外すぐ折れるのね…。錆びていたからかな?これで前より取り回しがきくようになったかなー」
「折るなよっ!」
やや強烈な痛みで、思わず声を出してしまった。
「え!?誰ですか?」
少女は周りを見渡す。
しかし、誰かいる気配はない。
いるはずがない、声を出したのは今持っている剣なのだから。
(やばい、つい声を出してしまった。え、でも折れたってことは……)
隼一郎は下を見た。
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