十四の夏、二度目のお祭り

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 十分ほど歩いたと思う。  河原で火が焚かれているのを見つけた。  あった。  あの時と同じ。篝火を囲んで、数人が踊っている。あの踊っている影には触ることができない。彼らはあやかしまつりへの入り方を示しているだけだ。  私は河原に下りようとして、立ち止まった。  踊っている影が一つ減ったような気がしたのだ。誰かが入っていったのだろうか。  この辺りであやかしまつりに入ることのできる人がいるのか。  私はしばらく待った。  さらに十分くらいは間を置いた。  なにも起きないことを確認してから河原に下り、踊りの輪に入った。左に回る。  一、二、三、四、五……と数えているうちに、暗かった視界がどんどんと明るくなっていった。  笛、太鼓、弦楽器といった音が流れ、ざわめきが辺りに広がり始める。それらが聞こえてきたら、そこはもうあやかしまつりの中だ。
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