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影が長くなっている。
私は車通りの少ない道を一人で歩いた。
何度経験しても、何歳になっても、帰り道には寂しさを感じた。夕日がその感情を強くさせるのかもしれない。涙ぐみそうになった。
早く家に着きたい。自然と早足になる。
アパートに戻って、部屋の扉を開けた。中は薄暗かった。
「ただいま」
呼びかけてみたが、反応はなかった。
駐車場を見ると、車は止まったままだ。両親は中にいるはずなのだが……。
私は靴を雑に脱いだ。昼間の蒸し暑い空気が充満していた。
「お父さん? お母さん?」
リビングに入って、すぐに電気をつけた。
二人はいた。
父はソファーに仰向けになっていた。
母はテーブルに突っ伏していた。
二人とも寝ている――とは思わなかった。
父の白いシャツ、その胸が赤く染まっていた。
母の座っているイスの足元に、赤い液体が溜まっている。
時計が鐘を打った。
六つ、鳴り響く。
音が消えると、部屋は再び静寂に包まれた。
あまりにも静かだった。
心臓の鼓動は、一つだけだった。
私は叫ばなかった。口が開かなかった。
ただ、ゼンマイが切れた人形のように、ゆっくりと、床に崩れ落ちた。
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