十四の夏、二度目のお祭り

1/28
167人が本棚に入れています
本棚に追加
/125ページ

十四の夏、二度目のお祭り

 深い眠りから目を覚ます。古い夢を見ていたようだ。      † 「おはようございます」  花織が耳元で囁くのを聞き、私はパッと目を開く。すぐそこに彼女の顔がある。 「おはよう」  言いながら体を起こし、大きく伸びをする。  壁掛け時計に目をやる。六時半。  カレンダーにも視線を送る。八月十二日。  明日からお盆休みに入る。それでなくても夏休みだが、お盆休みには五郎さんも家にいられるので、楽しみが増えるのだ。  花織はベッドから出て、自分の部屋に戻っていった。  中学生になっても、相変わらず花織には一緒に寝てもらっている。いまだに、一人で夜眠るのは心細いのだ。  十和子さんに挨拶してから家を出た。花織がついてくる。白いチュニックにハーフのジーパンという格好だ。  今日は中学の友達と会うことになっていた。 「ところで、今日って稲宮(いなみや)さんとデートなんですか?」  稲宮は清一君の苗字だ。 「違うよ。清一君だけじゃなくて他の友達も来るから」 「いいんですか? わたしが一緒でも」 「いいに決まってるよ」  今年、花織も中学に上がった。五郎さんの計らいで私と同じ中学校に入った。私達が学校でいつもくっついているから、クラスメイトの間で花織は有名なのだ。
/125ページ

最初のコメントを投稿しよう!