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十四の夏、二度目のお祭り
深い眠りから目を覚ます。古い夢を見ていたようだ。
†
「おはようございます」
花織が耳元で囁くのを聞き、私はパッと目を開く。すぐそこに彼女の顔がある。
「おはよう」
言いながら体を起こし、大きく伸びをする。
壁掛け時計に目をやる。六時半。
カレンダーにも視線を送る。八月十二日。
明日からお盆休みに入る。それでなくても夏休みだが、お盆休みには五郎さんも家にいられるので、楽しみが増えるのだ。
花織はベッドから出て、自分の部屋に戻っていった。
中学生になっても、相変わらず花織には一緒に寝てもらっている。いまだに、一人で夜眠るのは心細いのだ。
十和子さんに挨拶してから家を出た。花織がついてくる。白いチュニックにハーフのジーパンという格好だ。
今日は中学の友達と会うことになっていた。
「ところで、今日って稲宮さんとデートなんですか?」
稲宮は清一君の苗字だ。
「違うよ。清一君だけじゃなくて他の友達も来るから」
「いいんですか? わたしが一緒でも」
「いいに決まってるよ」
今年、花織も中学に上がった。五郎さんの計らいで私と同じ中学校に入った。私達が学校でいつもくっついているから、クラスメイトの間で花織は有名なのだ。
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