光と影に染められて

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 関係が変わると、周りの目が気になるものだ。翌日の私が、まさにその状態だった。教室に入った瞬間、誰かが私をからかってくる。そんなイメージが頭の中にあった。  八時ちょうど。清一はもう登校していた。 「よう、遅かったな」  私を見て、軽く手を挙げている。いつも通りだ。 「お、おはよう……」  なぜか苦笑しながら返す自分がいる。リアクションが思うようにとれない。  席について、教科書を机の中にしまう。その間も、ちらちらと清一を見た。彼は友達と楽しそうに話している。まったく私のことなど気にしていないかのようだ。  清一は周りに気取られないよう、自然体にしている。  私もあまり考えすぎず、力を抜いていたほうがいいのかもしれない。そう考えたら、急に楽になった。 「あ、ちょっといいか?」  と仲間に言って、急に清一が私の前に来た。落ち着いたはずの心拍数が一気に高まった。 「なあ千沙、昨日の宿題やるの忘れたんだけど、ちょっと見せてくれよ」 「もう、バカ」  清一はきょとんとした。 「なんでキレてんの?」 「私が必死で隠してるのに……」 「ああ、そのことか。まあアレだ、しばらくは大丈夫だろ。逆に意識しすぎるほうがばれると思うしさ、気楽にいこうぜ気楽に。な」 「それはそうだけど」 「気にしすぎだって。俺達はくっついててもある程度は違和感ねえし」  私達が幼なじみであることは、クラスメイトの半分くらいが知っている。 「心配すんな。お前の立場を悪くするようなことはしねえから」 「……脅迫、じゃないよね。今の」 「は? 脅迫……あ! 確かにそれっぽかった!」  あはははは、と清一が爆笑する。 「清一――清一君、目立ってる目立ってる!」  私は焦って周囲を見渡した。  女子の一団が私達を見て、にやにやしながら口笛を吹いた。……最悪だ。
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