7人が本棚に入れています
本棚に追加
ふうと、息をつく。
あの駄菓子屋のおばちゃんのおかげで、海と私は打ち解けることができたのだっけ。
それはとても幸福なことで、同時に非情で不幸なことでもある。
「……」
手に握りしめたままだった三猿をショルダーバッグの内側へポイと捨て、ペットボトルの蓋を緩める。
水は柔らかく、ほんのり甘かった。
思っていたほど喉が乾いていないと気づき、二口だけ飲んでそれもバッグの中へと収めた。
そういえば、あの頃の私はまだ義父のことが好きだったんだ。
何も知らない単純な子供だったんだな。
あの駄菓子屋さんは、どうなったのだっけ。
忘れてしまった。
まあいいやと、私は歩みを続けた。
最初のコメントを投稿しよう!