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「海(カイ)の瞳って、本当に海(うみ)の色にそっくりだね」
私は海(カイ)を覗き込み、羨ましくてほうっとため息を漏らす。
「ハワイ語でね、カイは海(うみ)を表すんだよ。生まれたての僕の瞳がハワイの海に似ていたから、グランパがそう名づけたんだって」
「グランパって?」
「あ、えーと」
斜め上に視線を反らせた海(カイ)がパチンと指を鳴らす。
「そうだ、じいちゃん!」
「あ、おじいちゃんのことか」
「うん。じいちゃん、旅行と自然が好きで面白いんだよ」
楽しげに目を細める海の隣で、私は「へえ」と驚きまた大発見をする。
「漢字でも海(うみ)をカイって読むよ! すごい偶然だね!! 海(カイ)にぴったりの名前だね!!」
海(カイ)は、嬉しそうに「うん」と頷いた。
「この名前は日本でもイギリスでも違和感がないし僕も気に入ってるんだ。でもね」
海は何かを思い出して心底おかしそうに、ククッと笑う。
海はとってもおかしい時にククッと笑うのだ。 その笑い方が私は大好きだった。
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