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「お……」
『おばちゃん』と飛び出そうになった言葉を飲み込み、ぴょこんとお辞儀を返して私はレンガ道を歩き始めることにした。
これが世に言う、他人の空似というやつだろうか。
彼女はあの人にそっくりなのだ。
昔、住んでいた家の近所で小さな駄菓子屋を営んでいたおばちゃん。彼女も小太りでふくふくと大福みたいに笑う人だった。
おばちゃんは、海(カイ)と私の心を近づけてくれた人だった。
そう考えた瞬間、閉じ込めていたはずの心の箱がかちゃりと開き、海との初めての出会いが勢いよく飛び出した。
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