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翌日、帰宅した私は倒れ込むようにベッドに突撃した。
心配そうにウサギがぴょこぴょこしているが、それに対応するのすら億劫だ。
仕事は大忙し、上司の小言も大盤振る舞い。そんな一日だったのだから、当然といえば当然だろう。
「つかれた……」
絞り出した一言に、視界の端でウサギの耳がピンと立ったのが見えた。
ふわふわの身体からは想像もできないほど素早く駆け寄ってきて、私の顔に寄り添う。
「おつかれさまです!」
ぽふ、と。頭にやわらかな前足が乗せられた。
そのまま優しく撫でられ、荒んだ心が落ち着いていく。
どれくらいそうしていただろう。ようやく顔を上げれば、ウサギは小首を傾げてこちらを見ていた。
「ごはんにします? お風呂も沸かしてありますよ?」
「いつの間に……」
「わたくし、できるウサギですので!」
思わず零した驚きに、ウサギは得意げに胸を張る。表情は変わらないけれど、そこはかとなくドヤ顔の空気を漂わせて。
「……ごはん、一緒に作ろうか」
ごはんを食べて、お風呂に入って、それからまたマッサージしてもらおう。
目一杯癒してくれる。この子はそんなウサギのようだから。
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