人間をダメにするたった一つの冴えた侵略法

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人間をダメにするたった一つの冴えた侵略法

”テレテレン♪ いい湯加減です♪♪” ふわふわした声で誘われると我慢できない! 服を脱ぎ捨て扉を開く ムッと熱気のタオルが裸体を包む。一気に気分はリゾート。 ここは南国、裸の楽園。 かけ湯なんかいらねえ。俺の風呂だ。文句あっか! サブンと飛び込み首まで浸かる。 この締め付けるような温もり。ふーっ、たまんねぇ。 俺が顔を洗っているとお盆がプカプカ流れてきた。 徳利にお猪口? いやいや、通は升酒だろ。片手でつかんでグイっと一杯。ごくごく、ごくらくごくらく。 そして風呂からあがって脱衣所に立てば、温風が拭いてくれる。至れり尽くせりだ。 ロボットアームがバスローブを着せてくれる。 指一本動かさなくていい。床からフカフカのベッドがせりあがって、俺をますますダメにしてくれる。 ガスの力だ。ガスは偉大だ。 ゴトンと音がして壁が開いた。ガスジェット式のドローンがそれをベッドサイドに運んでくれる。 ガス圧縮式の物流パイプラインが各家庭に伸びていて、宅配トラックを無用の長物にしていた。 「何だろう」 包みを開いてみると注文した本と一緒に通販カタログが入っていた。 えーとなになに? 『ガスタービン機関で往くカリブ海5日間の旅』     
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