第二章

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 虎の予言したとおり、烈しい風雨は続き、そこへ一泊して村へと帰ることになった。    翌日の昼になると、昨日までの天気がうそのように空が澄んでいる。  虎は歩く。ひたすら軽快に。    その歩む速度はかなりのものだ。  しかも休息をほとんど必要としない。    一方のノギトは空とはいえ、荷車を押しつつの移動なので、追いつくのは容易ではなかった。  それに気付いた虎は、途中から歩調を落とすようになった。  そして――――。  街道の途中で、ふたりは大声をきいた。  女性のものだ。  反射的に駆け出そうとしたノギトの肩を、虎が掴んだ。 「まず荷車を隠して、そっとついてこい――」 「ちょっと、やめてよ! 迷惑だと言ってるじゃない」 「いいから来い女! 逃げられると思うな」  雨よけのマント、チュニックを着た女性が、五人の男どもに囲まれている。    五人の姿はきのう出現した、野盗たちの風体とかわらない。  おそらく、虎が斬った三人の仲間なのだろう。    じりじりと野盗どもは、包囲の輪を縮める。    少女は、両手で短弓をかまえていた。 「近寄らないで、撃つわよ!」 「まちがいない、あの声はわしの娘、セシリアだ」  ノギトがうめいた。  セシリアはおそらく、彼を迎えに来てくれたのだ。  その途中、運わるく仲間を探しに来た野盗と、鉢合わせしてしまったのだろう。
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