3人が本棚に入れています
本棚に追加
「わかった、村長とかけあってみよう」
「で、ここからおまえさんの村までどれくらいだ」
「今日じゅうにはなんとか・・・」
「一泊して、翌日の昼というところか」
ちん、と男の背から音がしたような気がした。
と同時に、どさりと音がして、葉をぎっしり茂らせた木の枝が落ちてきた。
斬ったのだ。農夫が知覚できぬうちに。
男はその葉の生い茂った枝を農夫に投げわたした。
「急いだ方がいいと思うぞ」
農夫は、ぽかんとした顔で枝を手に取った。
男はマントについたフードを頭に被っている。
それが男の気遣いだったと気付いたのは、手遅れになってからだった。
――――たちまち、頭上に大粒の雨が降ってきたのだ。
最初のコメントを投稿しよう!