0人が本棚に入れています
本棚に追加
kiss
ふわっと、頭を撫でられたような感覚がして目が覚めた。
その感覚に自然と顔が緩んだのがわかる。
小さく笑った気配がして、ギシリと起き上がる音と共にその手は離れていった。
それが少し寂しかったけど、体を取り巻く倦怠感が引き留めようと動くのを制す。
衣擦れの音がして、部屋の扉が静かに閉じられた。
(そんなに気を使わなくてもいいのになぁ…)
微睡みながらそんな事を思った。
気がつくと小さくトントンという音とジュージュー何かが焼ける音が聞こえてきていた。
ああ、朝ごはん作ってくれてるんだ…
する事があって部屋を出たのは、鈍った頭でも理解はできていた。でも、目が覚めるまで側に居て欲しかったとも思うのだ。
彼の代わりに側にあった毛布を抱きしめる。
その毛布からふわりと彼の匂いが香って、眠りに落ちる前のことを思い出してしまった。
「うぅっ…///」
熱の篭った瞳で見つめられ、いつもより低い声で名前を呼ばれた。何度も何度も求められて…
あー!もう!
「くっそ、かっこよかった…ムカつく…」
寝返りを打って枕に顔を埋める。深呼吸して彼の香りを胸いっぱいに吸い込んだ。
「好きだなぁ…」
ポツリと呟いたところでカチャッと扉の開く音がした。
さっきはほとんど音がしなかったのに。
カバっと勢いよく顔を上げて扉の方を振り向いた
最初のコメントを投稿しよう!