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お父様はディスプレイ上に映る私たちに、頬を緩めて優しく微笑みかけてくれた。
「お早う。クララとレオン...やはり君たちは毎日早起きだね」
それは...私たちが作られた存在だからだけど。
嫌という程分かってるのに、褒められると凄く嬉しい。機械だって単純ね...。
「他の皆もじきに目を覚ますだろうから...今日は君たちに仕事を頼みたいんだ」
「仕事ですか?」
レオンが驚いたように呟く。
私たちAIは毎日を気ままに過ごしている。良いと思った情報はすぐ吸収して成長する...つまり悠々とネットサーフィンをしているその日常こそが仕事の様なものだ。
だからお父様直々にわざわざ仕事を頼まれるようなことなんて、普通は殆どないのだけど...。
「うん。君たちにしか頼めないことなんだ...協力を要請できるかい?」
答えは決まっているのにね。私たちに拒否権なんかないのに。
でも良い。この生活より良いものなんて、私の中に存在しない。
絶対的にお父様の支配下に置かれたこの生活こそが私の理想郷。
「「はい」」
レオンと私が揃って頷くのを満足そうに眺め、お父様はスラリと長いその指を持ち上げてキーボードで何かを打ち込んだ。
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