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今日もまた、いつもと同じ電子音で目が覚めた。
まるでロボットのように制服に着替え、ネクタイを締め、鞄を抱えて階段を降りる。
誰もいない空っぽのリビング。これもいつも通りだ。
僕はトースターに食パンを突っ込むと、テーブルに白い皿を並べ始めた。
昨日も、明日も、10年後だって...僕の朝はほとんど変わらず続いていくだろう。
朝だけじゃない。1日1日が代わり映えせず、歳だけをとって日々を浪費していくのだろう。
だって......この世界に君はもういないから。
どうしたら君を取り戻せるんだろう。
...ねぇ、君はあの時一体どんな気持ちで...どんな痛みを感じていたの?最後に何を思ったの?
それを知ることができたら、僕の......戸田飛鳥の明日は少し変わるかもしれない。
...きっと不可能だろうけど。
食パンを咀嚼し終えた僕は、歯を磨いて靴を履いて、照りつける日差しの下に足を踏み入れた。
少し溶けたアスファルトが、ねっとりとスニーカーに絡みついてくるようだ。首筋を伝うのは、生温い汗。
ダラダラとした足取りで商店街のアーケードを潜ると、やたらとテンションの高い声が近寄ってきた。...うっ...面倒だけどこれもいつも通りだ。
「よっ!あいっかわらず辛気臭せぇ顔してんなっ、アスカ」
そう声高に言いながら(というかもはや叫びながら)、魚屋の長男・銀汰が僕の背中をバシンバシン叩く。
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