Ⅰ. 甘さ控えめ桜のクッキー

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「くっっっっそ甘いじゃねぇか!どういうつもりだ?嫌がらせかよ?」 「え?え?甘さ控えめだし、桜の塩気も利いてて甘い物が苦手でも食える甘味だろ?」 「どこが!」 「……オレ、聞いた事あるっす」  まだ文句を言い足りない翼を遮り、友人の1人が声を上げた。自然そっち……(よる)の方を睨んでしまうのも仕方がないだろう。  しかし夜は臆した様子もなく、時折何かを思い出すように考えながら言葉を続ける。 「幸せアレルギーっていって、幸せに慣れてない人は甘い物が苦手なんだって。アンタ、もしかしてそれなのかも」  人の内側にズカズカと。  しかし翼のそんな反論さえ許さないと言うように、或いは見越してでもいるかの様に。翼の返事を待たず、夜は言葉を続けた。  それも、やけに明るい笑顔を伴って。 「だからオレがアンタを幸せにするっすよ!」
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