第三章:突然の電話

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大学を卒業して数年後、 Tから電話があった。 近況の話をした後、 Tは、突然、 「今度、結婚するんだけど」 「まじか!!」 思わず口をついて出た。 驚いたため、一瞬空白の時間が流れたが、 「おめでとう!」 と自分は冷静を装い応えた。 「それで、結婚式に出席してくれないかなぁ?」 「もちろん、いいけど・・・」 「もう一つ、頼みたい事があるんだけど、式で一緒に演奏しない?」 「えっ!」 また、相当驚いて空白の時間ができた。 「彼女もさぁ、ビートルズが好きで。だから、3人でやらない?“ミッシェル”を彼女が歌いたいんだって。それを俺ら二人で演奏して、もう一曲、二人だけでやろうよ」 「何やるの?」 「“悲しみはぶっとばせ”はどう?」 そうきたか! と自分は思ったけど、すかさず 「“悲しみを”でしょ?」 と答えると、 「“悲しみは”が正しいはずだけど」 とTはちゃんと反論してきた。
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