第1話

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 中学生最後の試合、負けて涙を流すチームメイト達。けれど僕は、涙を流すことが出来なかった。 ~free style~ 「なぁ海生(かいせい)は中学の頃はバレーボールやってたんだろ? 高校でもやるの?」 「いや、高校で部活はやらないつもり。放課後は何か好きなことでもしてようかなと思って」  今日は比嘉海生(ひが かいせい)が通う事になった沖縄県の高校、通天高校の入学式。入学式やクラスメイトの顔合わせなども終わり、中学生からの友達の下地鏡也(しもじ きょうや)と帰宅しようと、歩きながら話しているところだった。 「そなんか。何かさっきからチラホラ部活の勧誘で先輩方らしき人達が見えるからさ。俺はサッカー部だったから高校でもサッカーやろうかなぁ」  今までやっていたスポーツを素直に続けられる鏡也に少し羨ましさを感じた。今の海生に、バレーボールを続けようという気持ちは持てない。 続けてしまえば、またあの気持ちを味わうことになると思ったから。 「サッカー部かぁ……あっそういえば俺親戚のおじさんにレスリング部入れよとか言われた! なんか通天高校のレスリング部って強いらしくて」
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