3人が本棚に入れています
本棚に追加
小学四年生から始めたバレーボールは、決して自分からやりたいと思って始めたものではなかった。
小学校に入る前に病気で入院し、弱ってしまっていた体を鍛えるためということで、親に半ば強制的に入部させられたのだ。
何故バレーボールだったかというと、両親ともにバレーボールをやっていたことがあるという、ただそれだけの理由だったらしい。
半ば強制的に入れられた部活に正直やる気は起きず、自分の遊ぶ時間を奪われた小学生の頃の海生はふて腐れ、真剣にバレーボールに取り組むことはせずなんとなく続けていた。
中学生になってもバレーボールを続けたのは、通っていた中学校が部活動に参加することを義務づけていたからだ。
どうせ部活をやらないといけないのであれば、小学生の頃からやっているバレーボールで良い。新しいスポーツや他のことに手を出すのが億劫で、色々な面倒くささを考えた上で、惰性で続けたというものだった。
そして中学三年生になり、部活の終わりが見え始めた頃に思った。
高校生になった時に自分は部活動自体を続けないのではないかと。それなのに合計六年も続けたバレーボール部で、未だにレギュラーになれていない。六年続けたバレーボールで一度も表舞台に出ることが出来なかったのだ。真剣にやっていなかったのは自分自身だ。その結果がこれで、自業自得だ。
どうしてかはわからない。バレーボールを好きではなかったはずの自分が、試合に出たい、活躍したいと考えるようになっていた。
そんなことを考えるようになっていた自分自身に驚いていた。
そう思い始めてからは練習に打ち込んだ。部活の時間はレギュラーメンバー中心の練習が多かったため、部活が終わった後にママさんバレーに参加させてもらい練習した。
朝は早朝にランニングに出かけ、学校が終わり部活、夜はママさんバレーボール。
そんな日々を続けて三ヶ月。ついに最後の大会のレギュラーメンバー発表の日、告げられたメンバー。海生の名前はレギュラーどころか、控えの欄にすら載っていなかった。
その日の部活が終わった直後、体育館の舞台裏に隠れながら一人……涙をながした。そしてその時になって気づいた。自分はバレーボールが好きになっていたのだと。
最初のコメントを投稿しよう!