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入り口のサイドには部屋があり、恐らく更衣室であろうそれぞれの部屋からは少し声が漏れてきている。部員がもう来ていて着替えているのだろうと考えていると、心なしか女の子の声も混じっている気がした。
そう思ったと同時に右の方の扉、入り口から見ると左側からの扉が急に開け放たれた。
「さっき見えた子だ……」
「おっホントだ! ちょっと声かけてみよ!」
出てきた女の子二人はそう言うと足早にこちらに近づいてきた。
一人は黒髪でショートカット、目の下に泣きぼくろがあり、垂れ目で少し大人しそうな見た目だ。もう一人は少し茶色がかる髪色で、こちらも髪型はショートカット。キリッとした目元が特徴で、活発そうな子だった。
「ちょっと聞きたいんだけど」
「君攻めっていったら反対の言葉はなんて考える?」
海生の目の前に小走りで近づいて、いきなりの質問。
いきなりの行動と言動にびっくりしてしまう。それでもおそらく先輩であろうその人達に、失礼にならないように質問の答えを考える。
「えっと守り……ですかね?」
「ちっ」
「ノーマルかー」
「え!? な、何がですか!?」
今のやり取りで何がわかったというのだろう? そんな海生など気にせず、
「初めまして遅れたけど自己紹介するね。」
「私は優香 こっちのこの子は美優 二人でマネージャーやってるんだ!」
黒髪の子が美優、茶髪の子が優香というらしい。
「はい、先輩……ですよねきっと。それであの…さっきの質問はどういう……?」
当然の疑問にやはり海生のことはお構い無しだ。
「気にしないで。ちなみに二人共二年生だよ」
「そうだそうだ! 君はそんなことより今日の練習を見ていって早く入部を決めるんだ! 見学者だよね?」
明日からバックレようと決めていた海生は少したじろいでしまう。
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