日中ステルス戦争

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日中ステルス戦争

日中ステルス戦争  GDP世界ベスト3の座を争う大国がちっぽけな島をめぐって火花を散らしていた。  双方互いに譲らず、一方は尖閣、一方は魚釣と呼んで領有権を主張した。  正当性を示す根拠として、由来を証す古文書を次から次へと繰り出した。  日中、互いに妥協点を見いだせず、終わりの見えない論争はこの世が滅びるまで続くかと思われた。  ある日、中国政府は突如として主張を翻した。  日中間に領有権問題などない。  ただ、東シナ海に未確定の海域があるだけだ、と。  日本国政府は相手国の軟化を驚きを持って迎えた。雪解けムードが一気に高まり、両国民は沸いた。  凍結されていた交流も復活し、株価は高騰した。  しかし、この事態に冷水を浴びせるアクシデントが起きる。  島に中国製のドローンが着陸したのだ。小さな国旗を掲げ、短波送信機でここが自国領土であることを全世界に宣言した。、  同時に、中国政府は未知の海域に新島を発見したと発表。  ドローンの操縦者を国家英雄と称えるとともに、命名権を付与した。  中南海の池を背に彼はこう言った。 「魚釣島です」     
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