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映画好きな祖父ちゃんとは、古き良き時代の名作をよく見たものだった。その中でも特に祖父ちゃんのお気に入りだった「卒業」は、今でも俺の人生に大きな影響を与えていた。
大学を卒業した主人公ベンは、両親の友人ロビンソン夫人の誘惑に負け、男女の関係を持ってしまう。その一方で、両親のすすめで夫人の娘エレーンともつき合うようにもなる。
最初は渋々つき合っていたベンだが、やがてエレーンの純情さに心惹かれ真剣になっていく。ところが、娘に嫉妬した夫人によって二人の仲が引き裂かれるという、まるで昼メロのような展開が待っていた。
傷ついたエレーンはベンと別れて、泣く泣く親が決めた相手との結婚を決意する。すると、結婚式の当日、教会にベンが式を妨害しようと現れた。
両親の反対や周囲からの停止も乗り越え、ベンが花嫁を強奪するという圧巻の結末だった。だが、この映画はそのままハッピーエンドで終わるような、単純な話ではなかった。
教会を飛び出したベンとエレーンはバスに飛び乗ったものの、二人の顔からは笑みが消えていた。すぐさま二人は不安げな表情になり、虚ろな視線を宙にさまよわせていく。そして、何とも居心地の悪い雰囲気のまま、エンディングを迎えるのであった。
初めてこの映画を見たのは、小学校四年生の頃だったような気がする。ちょっぴり刺激的な場面もあり、小学生だった俺に強烈な印象を残した。
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