それぞれの努力

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 試合に再び目を向けた。ハドラーはもうバテバテで、剣をギリギリ構えている感じだった。 「くっそぉ…卑怯だ!」 「戦術において卑怯も何もありません。見抜けているなら乗らなければいいことですよ、ハドラー先輩」  とてもいい笑顔で言ったランバートに、ハドラーはへばりながらも突進する。だがその剣に、もう力はない。難なくランバートの一撃で剣は手を離れて落ちた。 「ランバートの勝ち! ハドラー、とりあえず雪中ランニング十本。その後ここで公開散髪ね」 「うぅぅ、嫌だぁ!」 「だーめ! 挑んで啖呵切ったなら有言実行!」 「情けをかけてもいいですよ?」  ニヤリといい笑顔でランバートが言い、ハドラーは「ぐぬぬっ」と口元を歪めた後で、「うわぁぁ!」と叫びながら雪中ランニングを開始する。  それに周囲は笑ったり、応援したり、ランバートを称えたりしている。 「ファウスト様の背中を守りたいんだって」 「え?」  見ていたハリーが、満足そうな顔をして言った。そして、歩き出していく。 「強くなってるよ、ランバート。もう二年目で、一対一で勝てる奴いない。先輩だってダメ。アシュレー様が剣を、グリフィス様が体術を指南してる。ランバートもそれをどんどん取り込んでる。本当に強いよ」     
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