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王都に到着したのは六時間も経ってからだった。
大きな中央の門まできた馬車から手荷物だけを持って出れば、馬車は門の中に入らずに違う人や物を乗せてロッカーナへと引き返していく。三日に一便の定期便は、こうして巡っているのだ。
「でかいな…」
飲まれるように見上げたピアースの言葉に、クリフも頷く。
外側から見るだけで、王都の中央関所はロッカーナの何倍も大きい。
呆けたように見上げていると、不意に人が近づいてきた。
「ロッカーナの、ピアース・ロー、クリフ・メイヤールか」
「「はい!」」
かかった声の強さに視線を向ければ、同じ騎士団の制服を着た銀髪の人物がこちらを見ている。ゆったりと近づいたその人物は、一つ確かに頷いた。
「騎兵府第一師団のアシュレーだ。お前達に会いたいという人が待っている。ついてこい」
「「はい」」
クリフとピアースは互いに顔を見て、首を傾げた。
この王都に知り合いは、以前ロッカーナに演習に来た第二師団の人、特にランバートだろうか。でも、ランバートが人に頼んで自分たちを呼ぶなんて、思えなかった。
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