それぞれの努力

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 見えるけれど、違う。ランバートちゃんと見切って、あえてギリギリでかわしている。動きを見ている…ばかりじゃない。全身で感じている。 「すごい…」  上から見ているから分かる。ハドラーは動かされている。ランバートは剣を構えているけれど、全然使うつもりがない。  やろうと思えばきっと直ぐに手を出せる。切り結ぶ事もできる。でもあえてせず、間合いも詰まってきているのに、あえてさせている。甘い踏み込みを、待っている。 「年末のパーティーでさ、バレちゃったんだよ」 「え?」 「ランバートがファウスト様と交際してるの。それで今年入って、先輩達がランバートに訓練の時に決闘挑むようになっててさ」 「そんなの違うよ!」  だって、こんな事周囲が騒ぐ事じゃない。これが家族だって言うなら仕方がないけれど、同僚が出張っていい事じゃない。  非難すればハリーも「うん、違うよ」と認めた。 「でもさ、俺達よりも一つ上の先輩とかは、戦場経験しててさ。そういう人にとって、ファウスト様は本当に軍神で、崇拝の対象みたいな感じでさ。だからか、挑まれてる。で、ランバートはその全てを返り討ちにしてる」 「……えぇ」  ファウストが崇拝されているのは納得として、挑まれている全てを払いのけているランバートは凄くないのだろうか。     
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