426人が本棚に入れています
本棚に追加
/51ページ
見えるけれど、違う。ランバートちゃんと見切って、あえてギリギリでかわしている。動きを見ている…ばかりじゃない。全身で感じている。
「すごい…」
上から見ているから分かる。ハドラーは動かされている。ランバートは剣を構えているけれど、全然使うつもりがない。
やろうと思えばきっと直ぐに手を出せる。切り結ぶ事もできる。でもあえてせず、間合いも詰まってきているのに、あえてさせている。甘い踏み込みを、待っている。
「年末のパーティーでさ、バレちゃったんだよ」
「え?」
「ランバートがファウスト様と交際してるの。それで今年入って、先輩達がランバートに訓練の時に決闘挑むようになっててさ」
「そんなの違うよ!」
だって、こんな事周囲が騒ぐ事じゃない。これが家族だって言うなら仕方がないけれど、同僚が出張っていい事じゃない。
非難すればハリーも「うん、違うよ」と認めた。
「でもさ、俺達よりも一つ上の先輩とかは、戦場経験しててさ。そういう人にとって、ファウスト様は本当に軍神で、崇拝の対象みたいな感じでさ。だからか、挑まれてる。で、ランバートはその全てを返り討ちにしてる」
「……えぇ」
ファウストが崇拝されているのは納得として、挑まれている全てを払いのけているランバートは凄くないのだろうか。
最初のコメントを投稿しよう!