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会わない間に、ランバートはとても努力してきたんだ。そして、強くなっていっている。
クリフは、少しだけ悔しかった。
クリフはランバートを見て強くなろうと決めた。そしてまずは、気持ちを強く持とうと思った。弱い自分を変えたくて、必死になった。
強い自分を演じた。はったりは、そのうちに強い自分を引き寄せていった。震えそうな時、負けそうな時、負けたくないと踏ん張った。
「…強さはさ、べつに力ばかりじゃないよ」
「え?」
ハリーが、ふと言って指を指した。解散していく人の中に、ファウストがいた。どこかほっとした顔をして。
「ファウスト様もさ、違う強さを身につけた感じがする」
「え?」
「公になった事でね、ランバート狙いだった先輩や同期、後輩から、嘆願書を貰うみたい。『ランバート先輩を時々はこちらに返して下さい』とか、『ずるいです』とか。そういうのに、負けなくなったらしい。これ、オリヴァー様情報ね」
ハリーが悪戯っぽい顔をする。多分「他言無用」と言いたいんだろう。クリフは頷いた。
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