星空の下

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ドアが閉まるのを見届けて、私はほう、と小さく息をつく。 主人は気分屋だ。 だが、今日は機嫌がいいらしい。 カニクリームコロッケを買ってくる日は、決まって機嫌がいい。 私は、ほとんど寝たきりの生活を送っていた。 もう四年ほどになる。 上半身を起こすことはあっても、立って歩き回ることはめったにない。 足の筋力もだいぶ弱っているだろう。 食事の世話も、恥ずかしいことに下の処理までも、すべて主人に任せている。 主人は毎日会社で働き、家で私の世話をする。 逆の立場だったら、できる気がしない。 でも、大変だからと主人に捨てられたら、私は生きていけない。
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