ペットボトルの祓い師

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 外の少し冷たい空気が入ってきて、清司は顔をしかめる。着物一枚ではまだ肌寒いのだ。顔を上げると大学時代の友人、蒼太(そうた)がニヤニヤしながら見下ろしていた。 「そんなかっこしてると神主みてぇ」 「神主じゃなくてオレは宮司。さっさと上がってそこ閉めてくれよ。寒いんだ」 「へいへい」  蒼太は言われた通りに縁側に上がって、ガラス戸を閉めた。珍しそうにおみくじの放り込まれた段ボール箱をのぞき込む。手を出そうとしたので清司は慌てて制した。 「触るなよ、(けが)れる」 「ひっでー。人をばい菌みたいに」 「神様に一旦お供えするまで汚れちゃいけないんだよ。オレが禊ぎした意味がねーだろ」 「それ、マジ?」 「さぁね。そう言われてるから」 「相変わらずいい加減だなぁ」  おみくじから手を引いて、蒼太は部屋の中を見回した。 「現役女子高生の幼妻は? 今春休みだろ? いないの?」 「今日は社務所を手伝ってる。って、見世物じゃねーっての。何しに来たんだよ」 「あぁ、それそれ」  蒼太は思い出したようにジーンズの後ろポケットに手を突っ込んだ。そして探り出した物を手のひらにのせて清司に差し出す。 「これ、なんだと思う?」 「勾玉?」  蒼太の手のひらには薄紅色の勾玉が乗っていた。ただなんとなく嫌な感じがして、清司は触る気になれなかった。そんな物を触って禊ぎのやり直しになるのも面倒くさい。     
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