02.森の中

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これは一体どういうことなのか。驚き、声なくうろたえる幼子に教えてくれる大人は誰もいません。 相変わらずお腹はペコペコですが、起き上がれるまでに回復したことで、幼子は久し振りにその足で立ち上がることにしました。 体感的には久し振りに立ち上がるので、ちゃんと歩くことができるのか。幼子は少し不安を感じましたが、それは杞憂に終わりました。 くるり、と一周その場で回ってみても元気だった頃のように動けるのを確認し、歩けることがわかってちょっと嬉しくなった幼子は、再び辺りを見渡します。 ……やっぱり周りは木だらけ、何度見ても深い森。 家も、人もおらず、緑だけが広がっていて、踏み締めた地面の感覚から、ここが夢の中でないことも理解できました。
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