10.番犬との約束

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「メル、さっきからぼんやりしているね。…どうしたんだい?」 「…長く起きていたから、疲れたか?」 メルの主治医と化しているエディとすっかり保護者の顔をしているルカが尋ねますが、当のメルの反応は鈍く。 この反応の鈍さはルカの言う通り、長く起きているから疲労しているのだろうか。 エディはそう考え、眉を寄せ難しい、医者としての表情になります。 ──今日はもう、お開きにした方がいいかもしれないね。食事を変えたり、人が来たことに身体がついていっていないのかもしれない。 そう結論を出し、レオンやルカへ声をかけようとした時。どこか不安定に揺れていた花色の瞳がルカを捉え、小首が傾げられました。 『…き、し……?』 幼い唇がそう動くのに、ルカとエディは顔を合わせます。 騎士、と言いましたが、それに何かあるのか。ゆらゆらと揺れる幼い花色の瞳に2人は困惑しますが、じっと彼らを見ていたレオンがメルの様子に不思議そうな声をあげました。
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