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「あれ、…もしかしてっすけど、ルカに先生。この子にちゃんと騎士団の話、してないんすか?」
──俺にはなんだか、よく知らない言葉を聞いて…困ってしまっているように見えるんすけど。
それに、シンと静まり返る室内。確かに役職名やら何やらに騎士団の単語は出ていましたが、改めて説明はしていません。
そもそも王国の住人であれば…いえ、そうでなくとも、この土地に住んでいるなら獣人であっても騎士団の存在は知っていて当たり前のことなので、説明する、という初歩的なことを思いつかなかったというのもあります。
しかし、メルは少々特殊な状態。この反応を見る限り、騎士団の名が出ても何も分からなかった…知らなかった、とみて間違いないでしょう。
若い騎士からの指摘と、それにより思い至った考えにルカは金灰の瞳を伏せ、エディは罰が悪そうに頬を掻きました。
「あぁ…そういえば。でも、言い訳になってしまうけど、その子が連れてこられた時はとても説明できるような状況じゃなかったんだよね。まして、騎士団を全く知らない、なんて思わなかったし」
「…はー、なるほど。先生もルカも俺よりずっといろんなことを考えてるのに、真面目すぎるところがあるっすからねぇ」
エディの言葉を受け、レオンは自分の予想が当たってしまったかと苦い表情を浮かべます。
しかし、少し考え込んだ後。レオンはよし、と呟きを落とすと、ならば任せろとばかりに胸を叩き、口を開きました。
「しなかったことは仕方ないっすから、俺が教えてあげるっす!俺は小さい子相手だって、ちゃーんと説明するっすからね!」
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