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──ほんの僅かな、微かな変化。
ルカたちはそれに気付かず、レオンの様子に唯一違和感を感じたメルも、それがなんなのかはよくわかりません。
ですが、彼の話を聞いていて。
絵本の中でしか知らない世界のことですが、騎士・王さま・守る、という単語が出たので、騎士は、絵本に出てきたお姫さまを守るやさしい人たちと同じなのかな…?と、メルの目がキラキラと輝き出します。
それに気を良くしたのか、レオンは嬉しそうに、そしてちょっとだけ誇らしそうに、笑みを深め。
「メル、俺メルのことも守るっすよ!ルカに拾われて本当に良かったっすねぇ、この騎士団にいる限り、怖いことはなーんにも起きないっすから!仮に何かあったとしても、俺がこの剣にかけて守るっす!」
レオンはそう言いながら腰に下げている剣に触れ、守る、という言葉にキョトンとした顔をするメルにゆるりと目元を和らげます。
やがてメルも言われたことへの理解が追いついたのでしょう。ルカにしがみつきながら花色の瞳を瞬かせ、驚きや、言われ慣れない言葉に声の出ない口をはくりと震わせていましたが。
その目元をほんのりと染め、淡い笑みを浮かべると。…ハタ、ハタ、と、白銀の尻尾を揺らしました。
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