04.ルカとの出逢い

6/16
前へ
/349ページ
次へ
男を驚愕させたもの。それは、幼子の髪に隠れるようにして存在した、獣耳でした。 まだ幼いからか耳は小さく垂れており、髪型次第では見逃してしまいそうなそれ。 毛色は幼子の髪色と同じ白銀。視線をずらし、幼子の腰付近を見れば、ワンピースの裾から同色の尻尾が覗いているのがわかります。 それは、まだ幼子自身も気づいていない変化でした。人間であった幼子にはあり得ない、獣の特徴。姿の変化。 そして、人間姿であるのに獣の特徴を残しているというのは、獣人にとってもイレギュラーで。 そんな幼子の姿を見下ろす男の表情は難しく──どこか、苦しそうな、哀しげな色を秘めていました……。
/349ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1931人が本棚に入れています
本棚に追加