04.ルカとの出逢い

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…………。 昼間の温かな日差しは、地平線の向こうに落ち。辺りはすっかり夜の帳が下りています。 頬を撫でる風の冷たさに目を覚ました幼子は、見覚えのない毛布に包まれ、簡易な傷の手当てをされて寝かされているという状況に、幼い頭を混乱させました。 幼子が寝かされている柔らかく苔むした場所から少し離れた位置に、赤々と燃える焚き火が見えます。 その近くに、火が消えないよう、時々薪を入れる誰かの姿も確認できました。 火に照らされ時々見える横顔は、知らない顔。幼子を襲った魔獣でなかったのには安堵しましたが、幼子が探している二人でも、助けてくれた狼でもありません。 知らない人。赤い光に照らされた横顔は無表情で、なんだか怖い人に見えて、幼子はもぞもぞ、とりあえず柔らかい毛布の中に頭から潜りこみ、隠れます。
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