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幼子は忠告するようにかけられる声を、じっと動きを止めて聞きます。
──ちゃんとした手当てはできていない。
その言葉から、毛布を貸してくれているのも、簡易ながら魔獣につけられた傷を清潔な布で手当てしてくれたのも、あの男だということが理解できました。
あの人が誰なのか、まだわからないけれど。隠れてしまった幼子を怒ったり、痛いことをすることもありません。
もしかしたら、怖い人ではないのかもしれない。そんな思いから、幼子はちょっとだけ、毛布から頭を出し、彼の様子を伺うことにしました。
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