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長身の男が社長の目の前で歩みを止めた。顔を息が感じられる
ところまで近づける。
「何をしに来た?」
社長は鋭い眼光を向ける。
「何をしにって、俺は副社長だぜ。発表会に参加するのは当然
だろう?」
その男は東雲界都本人だった。
「お前は本当に勝手なことばかりしおって、会社はお前の所有物
ではない」
社長はいちかと英雄に目線を向けながら言った。
界都は面白くないような顔をする。
「なら誰のものだ?社長の巽様か?会長の耕造様か?
いつまで親父も爺さんも居座り続けるつもりなんだ?」
社長である東雲巽は息子の暴言を聞き流すが、その表情には
怒りの色が見え隠れする。やがて巽は口を開く。
「いまの発言は見逃すが、もう少し父親と祖父を敬え。お前が
今好き勝手できるのは誰のおかげか考えたほうがいいぞ」
巽の言葉には鋭さと同時に得も言われぬ圧力があった。
だが界都も動じない。
「これからは新しい時代なんだよ。なのに100歳超えた爺さんが
いまだに会長職とかおかしいとは思わないのか親父は?
俺は嫌だね。これからも好き勝手やらせてもらう」
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